以下、福島県で、母子支援、避難者支援に関するふたつのニュースです。
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●2012年【朝日新聞ニュース】
福島県は5日、希望する母親の母乳を検査した結果、378人全員分で「放射性物質が検出されなかった」と発表した。
東京電力福島第一原発の事故を受け、県は今年6月から、乳幼児の健康に対する不安解消のため母親からの電話相談を受け付けている。10月末までに相談があった703人のうち378人について母乳検査を実施。放射性セシウムが検出できる限界(1キロあたり2ベクレル)未満だったという。
県は、県内で生まれる新生児を年間約1万8千人と見積もり、約1万人分の母乳検査ができるよう約1億円の予算を組んでいる。県の担当者は今回の結果について「一安心」としながら、希望者が予想を大きく下回っていることから検査を呼びかけている。検査は無料で、県外に住む福島県民も受けられる。
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検出限界2ベクレル/1Kgは高いのではないですか?民間の尿検査などはもっと低く0.0レベル(理研で0.5ベクレル程度)で設定されています。「検出されなかった」「一安心」とは言いきれないのでは?母乳の検査は2007年にICRPから日本に勧告もあったそうです。事故直後、迅速にとりくめなかったのかなと思います。
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●2012年11月3日【福島民友ニュース】
県は2日、東京電力福島第1原発事故で県内に自主避難した人のうち、18歳以下の子どもと妊婦がいる世帯について、借り上げ住宅の家賃補助を近く開始する方針を固めた。一方、県外の借り上げ住宅への補助の新規受け付けを12月28日で終了する方針も決め、県内への住民帰還を促す。県は週明け5日に開く県災害対策本部会議で正式に方針を明らかにする。
新たに家賃を補助する対象は、今月1日までに県内に自主避難した18歳以下の子どもや妊婦がいる世帯。具体的な開始時期は未定だが、近く手続きに入る見通し。県内の自主避難者については、これまで災害救助法による借り上げ住宅制度では支援の対象となっていなかったため、避難者からは「不公平だ」などとする不満の声が噴出していた。県はこれを受け、より放射線への不安が大きい子どもと妊婦のいる世帯に限り、県外避難者と同様に家賃補助を行う方針を固めた。財源について県は、国に対し引き続き、災害救助費などでの対応を求めていく考え。
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県<内>避難への家賃補助適用は前進。一方県<外>への補助の新規受付が、12月28日
で打ち切り。
“県内への住民帰還を促す”とありますが、先般の甲状腺検査結果をみて避難を考えはじめた人もいることでしょう。あくまで避難を希望する人のための施策であって、県という行政のための施策であってはならないはずです。
また、出産を控えたり、子供を抱えてどこへ避難するか、それぞれの人々が限られた条件のなかで熟慮しながら決めていることだと思います。県外避難も日付で区切らず、線引きせず柔軟な対応ができないのかと思います。こうして「選択」は構造的にせばめられてしまう....。
また県外・県内避難者の「分断」につながってしまわないか、避難の「自己責任化」につながってしまうのではないかと憂慮します。
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