2013年3月4日月曜日

WHO 福島原発事故の健康被害予測発表

ついにWHOが2013年2月28日、東京電力福島第一原発事故による健康影響予測の報告書を公表したそうです。WHOは1959年にむすばれたIAEAとの協定で、原子力事故の調査、またその結果報告について独立した権限をもっていません。

●WHO独立のために「世界保健機構(WHO)は放射能汚染の犠牲者を守るという役割を果たしていません」(参考)
http://independentwho.org/jp/


原子力産業側にたつ「楽観的」な「過小評価」をおこなったことはチェルノブイ事故でもあきらかにされています。この予測結果についてはNGO等がさっそく批判をおこなっています。

●グリーンピースJAPAN
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2013/pr201302281/
「WHOの報告書は、原発事故の初期段階で放出された放射性物質が、原発から20キロ圏内で避難できずにいた住民に及ぼした影響について言及していません。放射線による健康影響は、長い年月の後に表面化することがわかっています。WHOは、原発事故による放射線と健康に関する影響評価を国際原子力機関(IAEA)の承認なしに発表することはできません。福島原発事故から2年を目前に発表された本報告書は、人命を念頭においた科学的分析ではなく、原子力産業を守ることを考えた“政治的な意図”を帯びたものと言えます」
ところが一方、環境省・厚生労働省はこのWHO予測結果について、「きびしくみつもりすぎだ」と猛反発しています。デジタル版203---------------年2月28日
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●朝日2013.2.28 【前川浩之=ジュネーブ、大岩ゆり】
世界保健機関(WHO)は28日、東京電力福島第一原発事故の被曝(ひばく)による健康影響に関する報告書を発表した。大半の福島県民では、がんが明らかに増える可能性は低いと結論付けた。一方で、一部の地区の乳児は甲状腺がんのリスクが生涯で約70%、白血病なども数%増加すると予測した。日本政府は、「想定が、実際とかけ離れている」と不安を抱かないよう呼びかけた。 

 WHOはまず、環境の線量などから被曝線量を推計した。計画的避難区域の住民は事故後4カ月避難せず、県内産のものしか食べなかったという前提で推計した。この線量をもとに、当時1、10、20歳の男女の甲状腺がんと乳がん、大腸がんなどの固形がん、白血病になるリスクを生涯と事故後15年で予測した。 

 この結果、被曝線量が最も高いとされた浪江町の1歳女児は生涯で甲状腺がんの発生率が0・77%から1・29%へと68%、乳がんが5・53%から5・89%へと約6%、大腸がんなどの固形がんは29・04%から30・15%へと約4%増加、同町1歳男児は白血病が0・6%から0・64%へと約7%増加すると予測した。 

 事故後15年では、1歳女児の甲状腺がんが浪江町で0・004%から0・037%へと約9倍、飯舘村で6倍になると予測した。 

 100ミリシーベルト以下の低線量被曝をした人たちの健康調査について、WHOは「線量だけでなく精神面や社会、経済的な側面への配慮も必要だ。がんの増加について科学的根拠が不十分でも、調査を長期間継続すべきだ」とした。 

 また、チェルノブイリの経験から「福島では、精神的な影響が他の健康影響を上回る可能性がある」と指摘。精神的な被害を深刻化させないために、線量とは関係なく、住民の精神ケアに早期に広範囲で取り組むべきだとした。 
 原発作業員のリスクは実測値に近い線量で評価。甲状腺がんなどが最大30倍以上増えると予測した。 

■日本政府は反論 

 環境省と厚生労働省は、WHOの会見に合わせ、メディア向けの説明会を開いた。住民の健康影響の評価について、環境省の前田彰久参事官補佐は「線量推計の仮定が実際とかけ離れている。この報告書は未来予想図ではない。この確率で絶対にがんになる、とは思わないで欲しい」と強調した。 

 一方、「過大評価」との批判に対し、WHOのマリア・ネイラ氏(公衆衛生環境担当)は「(4カ月避難しなかったなどの)想定は過大評価になるかもしれないが、過小評価よりも良い。過小評価してしまう危険を最小化したかった」と反論した。
--------以上-------
あーあ、です。なにをいまさらとりつくろうとしているのでしょう...おもわず。
こどものころおぼえた「いろはがるた」の、「われ鍋にとじぶた」という絵がおもいうかびました。
いまことの本質は、住民が「不安になるかどうか」「心配しないかどうか」ではなく、どれがただしいか、ただしくないか、という推論の妥当性をあれこれ論じることでもなく、「予防原則」(=科学的に明らかにされていない場合でも、危険が予測される折には、最大値のほうをえらぶ)に立って最大限の策を講ずることは明白なのに。いま、医者でちょっとした手術や大きめの治療をしたひとであれば、環境省や厚生労働省の「とりつくろい」がいかにまがまがしいか、わかるはず。

手術をひかえた患者は、輸血事故防止のためにそなえて、かならず自分の血液を採取するし、どんな手術であれ誰であれ術中の「肺血栓予防」にそなえて、(エコノミー症候群予防のため)、両足を圧縮する真っ白な靴下をはかされたり(けっこうはずかしい)、はたまたちょっとおおきめの病院であれば誰が誰なのか、まちがえられないように、足の裏にマジックで名前をかかされたりします(こればかりは不安になる)。

どれもちょっと、おおげさかな?とおもったりしないわけではありません。けれども、それはそれで過去におこった医療事故からまなんだ「危険」にそなえた妥当な措置だったりもします。
そうした積み重ねから、環境省や厚生労働省が大いに脱線してしまっています。 まるで情けない「おためごかし」とはこういうことをいうのだな、と思います。













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