2013年3月28日木曜日

福島第一原発で女性の作業員100名募集

福島第一原発で、とうとう女性の作業員100名を募集しだしているようです。実働1日4時間。日給16000円。「女性」の除染作業員の募集はこれまでみかけていたけれども、敷地内の女性作業員あからさまな募集をみたのはこれがはじめてです。(ひょっとすると知られていないだけで事故前からあったのかもしれない)

ほんきで募集しているのか、あるいはひょっとすると「女性」もはたらけるというダミーの広告で、
足りない作業員自体を増やそうという魂胆なのか?とも。
18歳~62歳という年齢設定も謎。低線量としれっと書かれていているのも腹立たしい。



いずれにしても不穏。ともかく、類として。ひとことだけ「行くな」といっておきたいです。
    誰であってもなにがあっても。

被曝労働を通じた男女平等などありえない。でもあれだけ避難する母子に対する無理解、非難や「母性主義ファシズムだ」とかいう見当ちがいの世迷言が噴出したことを考えると、「電離放射線障害防止規則の女性や妊娠可能性のある人への<保護>は逆差別」とかばかなことをいいかねない人も、うかうかすると登場しかねない。 


2013年3月19日火曜日

内部被曝問題研究会 会見 2013.3.11

事故から2年目、「内部被曝研究会」が見解発表です。いろんなグループが会見や見解を発表して、追悼ムードや回想モードに入っていましたがもっとも的確な現状認識だと思います。いまだ緊急事態にあること、事故は収束していないどころか、緊急状態のなかで「人命救助」すらおこなわれていない、とりくまれていないと捉えるべきです....。

---福島の小児甲状腺がんの発生率は、すでにチェル­ノブイリかそれ以上の可能性があり、これ以上放射線被爆をさせないために、速やかに移­住・疎開対策を進めるべきだと、うながした。福島の土壌汚染面積はチェルノブイリ事故とほぼ同じ範囲だが、人口密度が高い分、甲状­腺がんのリスクが増す。国は、除染で取り除いた土壌の最終処分場をどこに置くかを決め­なければならない。科学的なデータを基に、住めない、帰れない地域が出てくることを国­民に説明する必要がある、とも。-----
もう、まやかしたりできない、迂遠な議論など無駄な、手遅れに近い時期をむかえてしまっているのだと思います。


使用スライド(説明順)
沢田昭二氏
http://www.jnpc.or.jp/files/2013/03/1...
松崎道幸氏
http://www.jnpc.or.jp/files/2013/03/3...
矢ヶ﨑克馬氏
http://www.jnpc.or.jp/files/2013/03/0...
生井兵治氏
http://www.jnpc.or.jp/files/2013/03/a...

「市民と科学者の内部被爆問題研究会」ウェブサイト
http://www.acsir.org/



福島第一原発で停電・4号機冷却に消防車?

福島第一原発で、停電のニュースが立て続けに。今日の11時現在、1~3号基の注水はおこなわれているそうですが....ということは4号基。

4号機の冷却装置が復旧しなければ消防車で注水だそう....またいつかみた悪夢のくりかえし。
http://www.47news.jp/FN/201303/FN2013031901001581.html

事故直後の「緊急被曝状態」に設定された20mSv基準はいまだ撤回されていません。
わたしたちはまだまだ「緊急被曝状態」の中を生きている、ということ。もたもたした報道をまたず、
後悔したくないので、いつでも移動できるように....とりいそぎ。

東電のHPより。これまでこういう事態は何度かあったけど、ここまで詳細にだしてきたのは、かえって疑わしい気もしてしまったり。












2013年3月14日木曜日

デモウラシーナウで福島原発事故特集:Fukushima Meltdown's 2nd Anniversary Brings Protests Against Japan's Rel...

先日3.11の〝Democracy Now〟では福島メルトダウンから二年目の特集でした。写真家ユージンスミスさんと共に広く世界に水俣病を知らしめ、スリーマイル原発事故、またアトミック・ソルジャーの本の翻訳、核燃料輸送反対などと公害と反核運動両方にづっとかかわりつづけてこられたかたです。「水俣と福島10の共通点と手口」で警鐘を鳴らしたのは印象に残っています。


インタビューでは多くの反対の声にも関わらず、安倍政権が再稼働をもくろんでいること、またなにより日本政府のすすめる除染政策への批判、また政府の健康・医療政策と、避難がすすまない現状についても言及しています。
ならびに先日発表された福島での甲状腺がんについて、福島県立医大の鈴木眞一医師が「原発との因果関係は認められない、チェリノブイリ事故でも甲状腺がんの発生は4年~5年だ」とは発表したことに対して、きびしく批判しています。日本政府の原発事故後の人々に受忍を迫り、隠蔽をつづける姿勢が、次第に海外でも知られるようになってきています。

また余談ですがデモクラシーナウは原発問題となるとかならずジョージ・モンビットという「原発はクリーンなエネルギー」といsて原子力を支持する環境活動家をぶつけてくるのですが(ヴァンダナ・シヴァのときもそうでした)これについても、アイリーンさんはきっちり反論しています。

アイリーン美緒子さん/水俣と福島10の共通点

写真家ユージン・スミスさんと共に、水俣病を世界に知らしめたアイリーン・美緒子・スミスさん.
「フクシマの第一原発と水俣病」に対する、政府と企業の対応の共通点を次のようにまとめておられます。

①だれも責任を取らない。(タテ割り組織を利用して責任転嫁しあう)
②被害者や世論を混乱させ、「賛否両論」に持ち込む。
③被害者同士を対立させる。
④データを取らない。そうすれば、証拠をのこさない。
⑤ひたすら時間稼ぎをする。
⑥被害を過小評価する。
⑦被害者を疲弊させ、あきらめさせる。
⑧認定制度を作り、被害者数を絞り込む。
⑨海外に情報を発信しない。
⑩御用学者を呼び集め、国際会議を開く.。

「 かつて水俣を、今福島を思う」2012年2月27日 毎日

一昨年の秋に早くもアイリーンさんはこの10箇条を記していますが、それからというもの、自体はこの通りに進行していて、公害病とのたたかいから福島原発事故被害のたたかいについて学べることはほんとに多いと、痛感しています。


台湾原住民たちの反核:Anti-No nuclear waste site action in Taiwan 核廃棄物貯蔵施設反対

3月9日、台湾でも10万人の集まる反原子力のデモがありましたが、こ台湾の東南に位置する蘭しょ島でも、「低レベル核廃棄物の貯蔵施設」反対行動がありました。

以下は行動への呼びかけの映像。主に「原住民」タオ族のひとびとが参加しています。台湾には1970年代後半、原発が建設され6基が存在します。1982年に当初「かんづめ工場を作る」といわれ、この低レベル核廃棄物貯蔵施設が十分な説明もないままに作られました。

施設付近では甲状腺がんはじめ、健康被害が多発。90年代には「高レベル核廃棄物」がもちこまれたのでは?という懸念も。また福島原発の事故以降、反対の声に拍車がかかっています。






放射性物質を「悪霊」にたとえ、お祓いのような行為をしているのも惹かれます。

福島のメルトダウンから二年目に世界中でいろいろな行動がありましたが、

このようすがもっとも印象にのこりました。

なんだか、ぐっときます。





2013年3月13日水曜日

放射線の影響を受けた子供・妊婦の人権シンポジウム@NY:for the right to Health of Women,Children and others affected by the Nuclear accident in Fukushima

「こども」と妊婦が放射性物質の影響が甚大であることは、この二年間の被曝問題や放射能防御のとりくみもあって、次第に定着しつつあります。

子ども・妊婦への火急の対応をなおざりにして「復興事業」に邁進している日本は、先進国の仮面をかぶったとんでもない人権後進国、またリプロダクティヴ・ライツ後進国。

今日、3月13日、ヒューマンライツ・ナウなどの呼びかけで、「福島の原発事故により影響を受けた女性、子どもなどの 健康の権利を守るために即時の行動の呼びかけ」がありました。

●Experts Call for immediate action to protest the right to Health of Women,Children and others affected by the Nuclear accident in Fukushima

Since the March 2011 nuclear disaster in Fukushima, individuals and communities in Japan continue to be exposed to dangerous levels of radioactivity. There are serious concerns about consequent health effects for pregnant women, mothers, children and others in contaminated areas. Residents have a right to live in a safe and healthy environment, however, sufficient protective measures and support are not being provided. The right to access medical treatment and the medical data about one's own body are being seriously denied.

A human rights expert from Japan, a medical doctor from Japan, and a medical doctor from the U.S. will speak about how the lives and health of local women, children and others in the Fukushima area are being affected after the disaster and what should be done to provide immediate relief. The actions called for in the December 15, 2012 Human Rights Now "Civil Society Statement" to immediately implement the recent recommendations by the UN Special Rapporteur on the right to health will be highlighted.

この二年の‘破廉恥’な日本政府のありようには海の外からの注視と包囲が必要・不可欠です。
なんせ相手は日本政府のみならず原子力産業なのですから。

●ヒューマンライツナウ 
http://hrn.or.jp/activity/project/cat11/shinsai-pj/fukushima/post-188/

●『科学』2012年10月号「放射線教育の問題点-なぜ低線量放射線リスクはわかってないとされるのか」PDF版 崎山比早子
http://takasas.main.jp/down/Kagaku_201210_Sakiyama.pdf
●『科学・社会・人間』2012年4月号「国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会報告書からみる放射線専門家」 崎山比早子
http://takasas.main.jp/down/ssh_122_20120915_Sakiyama.pdf
●『科学』2011年11月「チェルノブイリ大惨事による健康影響の実相・二つの報告書から-無視され続けてきたがん以外の健康被害」崎山比早子
http://takasas.main.jp/down/Kagaku_201111_Sakiyama.pdf

 




Mom'sRevolution after 3.11:関東のこどもに健康調査を★署名活動はじまる

放射能に国境もなければ、いわんや県境もありません。ましてやいまこうしている時にも福島第一原発は、1000万Bq/hの放射性物質を放出
しているのですから。

母親たちのネットワークで雑誌を発行している「ママレボ=Mom's Revolution」 千葉・茨城・埼玉など高線量の地域で、子供・妊婦への健康調査を行うよう緊急署名を開始しました。
「関東地帯が汚染されたことはまちがいない」と、東京にも広めてゆきたいとのことです。

ママ・レボMom's Revolution 編集チーム:blog
http://momsrevo.blogspot.jp/2013/03/blog-post_10.html

署名はここから直接できます!
https://ssl.form-mailer.jp/fms/7cd71de7238484

もはや待っていられません。ありとあらゆる方法、すべてが大事。

被災地・配偶者間暴力(DV)急増・福島で64%増加

●福島民報 2013年3月9日より・「配偶者間暴力、被災地で深刻/64%(前年度比)」 

なんとも胸苦しい。統計で把握できている数字だけで水面下ではもっと広まっているのではとも。また児童虐待も増加。つねに行き場のない不安や憤りは、よわいものにむかいます。児童虐待の増加について行政は、「認識が高まったから、発見率もあがった」というコメント。甲状腺がんの発見と同じロジックが使われています....
なによりこの「行き場のなさ」と「閉塞感」は政府が許容線量を20mシーベルトまで引き上げ、避難の権利をみとめず、「国家単位」でよわいものにがまんしろ・耐えろ=「受忍」と、「ネグレクト」「虐待」を行っていることが背景にあります。



被災地では鳴り物入りでIAEAの招致や、巨大な「復興事業」の投企の一方で、人の健康、ケア、医療は切り捨てられていきます。かつて産業振興のためという名目で推進された原発建設。ふたたび事故を経て「復興」の名のもとの「再植民地化」。

海の外に目をむけても、こうした女性への「暴力」「孤立化」「異端化」は、社会構造と大きく関係しています。ここ数十年のアフリカの新自由主義による再植民地化の過程で、医療や福祉のきりすて、生命や健康の軽視があたりまえのようになされてきた。アフリカの女性と開発について研究してきたシルビア・フェデリッチは、アフリカでここ数年、こうした医療・福祉のきりすてとスラム化と並行して、共同体を守るための代替医療をつかさどる女性たちへの暴力が増加していると指摘しています。復興が「再植民地化」である限り、対処療法的止血は必要としても、根本的にこの「復興」が改たまらない限り、女性、子供への暴力・虐待とどまることはありません。こどもや女性にかかわること、フェミニズムにかかわることは、深遠で、課題になっていくことに、震えを覚えます。
ふわふわしてはいられない。

Silvia Federici ‘Witch Hunting,Globalization and Feminist Solidarity in Africa Today"
http://www.commoner.org.uk/?p=60









ドイツ放射線防護雑誌「テレックス」のメッセージと日本政府の汚染対策批判

3月9日には世界各国で「反原発」の行動があり、パリでは2万人、台湾ではなんと10万人が集まったとのこと。特に台湾では、主婦たちの反原発行動もあったようです。

なかでも、ドイツでチェルノブイリを契機に放射能防御の測定、市民測定をはじめ、現在でも市民と専門家による放射線防御の「テレックス」を刊行している編集長Thomas Dersee= トーマス・デーゼル氏のスピーチがなにより、日本の放射能汚染の現状、政府発表のモニタリングポストの、嘘、甲状腺の発症やそれを隠ぺいしようとする政府ならびに原子力産業を見据え、手厳しく批判していていました。反原発はもちろんですが、火急に対策が必要なこの汚染にむきあうべきと語っています。また市民測定所が100以上もできたこと、また避難・保養プロジェクトがすすむことにも希望を託されています。
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日本の福島県で原子炉事故が起きたのは2年前のことですが、今その福島を訪れると、福島市の駅前には、公共のモニタリングポストが立っています。このベルリンでよく見かけるパーキングメーターと似た様な形で、太陽電池がついていて、日中は現在の放射線測定値がディスプレイに表示されます。

しかし、自分でガイガーカウンターを持っている人は、それよりも公共のモニタリングポストの方がずっと低い線量を表示するので、不思議に思います。そして、どうしてそうなのだ、と尋ねると、これは別に特別なことではなくて、どこでもそうなのだ、という答えが返ってきます。日本の市民イニシアチブや地方自治体の代表などがシステマチックに検査した結果、わかったことです。

始め、アメリカの会社が試験的にモニタリングポストを設置したところ、ずっと高い放射線量が表示されたそうです。「これでは値が高すぎる、変えることはできないか」と日本の環境省が文句をつけたところ、その会社はこう答えたそうです:「いや、それはできない、モニタリング装置というのは測定するためにあるのだから」と。そこで、今度はアメリカの会社に代わって、モニタリングポストの設置が日本の会社に発注されました。日本の会社は環境省の要望に対し、ずっと理解を示したというわけです。

官庁はこのようなモニタリングポストを、3000台以上、福島県全体や近接する地方に設置しました。これらのモニタリングポストが公の線量測定の拠点となっており、平均で、実際の放射線量の3分の1から2しか、表示されません。これは日本国民にはかなり一般に知られている事実です。それなら、どうして官庁はこんなことをするのでしょうか?

このモニタリングポストが出す測定結果は、WHO世界保健機関などの国際的な機関に提出されます。これを受けてWHOは先週、「日本国内外の一般市民に対して予測されるリスクは少なく、ガン発生率が目に見えて増加するとは考えられない」という声明を出しています。「線量がもっと高い地域に限り、わずかながら増加が予測される」、そうも言っています。

しかし、WHOの人たちももちろん馬鹿ではありません。彼らだって、その測定線量が正しくないことは知っているのです。でもどうしてこんな汚い手口を使うのでしょうか?

日本の市民を安心させようという魂胆だって、そこにはあるのかもしれません。しかし、彼らがこのようなメッセージを届けたい本命の相手は実は、海外にいる私たちのような人間なのです。彼らは、私たちにこそ信じさせたいのです、原子炉事故があったがそんなにひどいことはない、そんなに急いで原発を止める必要はない、とそう思わせたいのです。たとえドイツやフランスでこのような原発の事故が起きたとしても、どうにかなる、と、そう言いたいのです。

日本の人々には、事実はもっとはっきりしています。事故が起きてから2年経つ今も、16万人以上の人々が、避難所、仮設住宅などで暮らしています。この人たちのほとんどが、高線量地域からの避難民です。昨年は甲状腺の検査が約8万人の児童・若者を対象に行われましたが、そのうち、40%以上で甲状腺の異常が見つかっています。そして今まで検査を受けた子供たちの数は、まだ半分にも満たないのです。

これまで151人の児童が二次検査を受けました。そのうち、10人に甲状腺がん、または甲状腺がんの疑いが見つかりました。甲状腺がんというのは、通常では100万人の児童に一人か二人しか発生しないものです。

昨日公表されたところでは、福島県からかなり離れている青森県、山梨県、長崎県でも、検査を受けた子供たちの60%に結節やのう胞がみつかっています。

児童のほとんどは、2年後でないと、再検診が受けられないことになっています。それは、フクシマの研究チームの責任者が説明したことですが、必要となる小児甲状腺の専門家をまずこれから養成しなければならないので、あと2年かかる、というのが理由だそうです。

公の政策は、高線量から避難してきた人たちを、また故郷に戻そうというものです。そうなれば、帰る人たちはみすみすモルモットになってしまいます。

また、多大な労力とお金が、生活環境を除染する作業に費やされていますが、これはやってもやっても終わりのない作業です。周りを取り囲んでいる山や森から、どんどん新しい放射性物質が住宅地域に舞い落ちてくるのですから。それに、放射性物質に汚染された土はどこに持って行けばいいのでしょうか?除染作業をしても、放射能を別の場所に移動するだけであって、なくすことはできないのです。

技術の進んだ日本のような国なら、こうした問題も乗り切れるはずだ、と思うのは、単なる希望的観測に過ぎません。官庁が最初に行ったことは、被ばく線量限度を切り上げておいて、これでも健康には問題がない、と主張することでした。

現在では、100以上の市民イニシアチブグループが独自の測定器を備えるまでになりました。彼らは、食べ物を通じて放射性同位体を体内に取り込むのを少しでも低く抑えられるようにと、食品の放射線汚染を測定しています。または各地での除染の試みをチェックし、人体軟組織の等価線量やホールボディカウンターによる全身の被ばく線量などを測定しています。そして彼らは、高線量の地域から子供たちを一時的にずっと南の方や北の方に疎開させる企画なども組織しています。

日本にこれだけ自分たちの意志で行動している人たちがいるというだけで、私には希望がわき、状況はひどくてもこれなら大丈夫だろう、と思えるのです。この市民たちは、できる限りの支援が与えられて当然です。私たちは、募金という形で支援することができます。そしてことにドイツでは、原子力などなくても平気だ、ということを示していかなければいけません。

御拝聴、ありがとうございました。
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以上はいつも「テレックス」についてすばやく翻訳してくださっている「無限遠音」より引用。 http://donpuchi.blogspot.jp/2013/03/blog-post.html

ドイツ放射線防御雑誌・テレックス(ドイツ語)

2013年3月12日火曜日

早期帰還者に新賠償...福島民報2013.3.8

福島民報2013.3.8記事より 

事故、二年目にして『早期帰還者』に新・賠償案検討との記事です。「空間線量が高くなった場所へ戻るための不安」を考慮してとあります..高線量の場所では除染の効果も薄い中で、.なぜ「早期帰還」をことさら促さなくてはいけないのか。昨年発表された福島県の総合計画でも2030年までに県外避難者を「ゼロ」にするという目標が掲げられています。単に人口流出をおさえるという企図以上に、事故の「過小評価」と、被災・被害者の分断に機能してしまいます。



そもそも現行の原子力損害賠償法は、1961年にできたものですが、被害者救済よりも主旨自体が、当時推進されていた原子力産業側の損害を抑え、責任を過小にするという目的を色濃くもっています(リベラルとされる民法学者・我妻栄も制定に寄与しています)。1961年に制定されて以来、賠償の対象になったのは、わずか1999年のJCO事故の3名の被害者のみ。
(この点については*直野章子さん著「被ばくと補償―広島・長崎・福島」(平凡社新書)に詳しく書かれています)

これでは事故の収束にむけたありばい、過小評価に、高線量にさらされる人たちが人身御供にされてしまうのではないですか?それより避難者、避難を続ける人にも同等の補償を、というようになぜならないのか。

多くの公害事件や原爆症認定訴訟で問われてきた、被害者の切り崩し分断が反復されようと
しています。しかも巨大な規模で。





2013年3月8日金曜日

異族としての<女>:International women's day


-----森崎和江「異族の原基」-----

けれども、棄てられた者の感覚は、そう単純でもなく
その裏側には、別の世界が育ちます。

いうなれば棄民という実質に対する、棄国の感性です。

国家をのがれてコスモポリティックになることよりも根深く、
国家を棄てるような執念が育つ。
----------------

森崎和江さんは、戦前・戦後と炭鉱労働、海外移住、出稼ぎと、生まれた土地にいられなくなったひとたち、売られたからゆきさん、棄民あるいはみずからの意志で移動したおおぜいの女性たちについて記録しました。

この間、たくさんの巷の、市井の女の人たちや母親たちのとてもたくましく、質実なことば、姿にふれました。避難、移住、離脱、食糧調達、コミュニティづくり、計測所のたちあげ、さまざまな異議申し立て。いろんなことに決断と選択をしいられ、意志を問われました。
たとえそれが、どんな小さな行為であっても、棄てること、離脱の契機を孕んでいます。

そして、そうなってくるとそれまで見知らぬ女のひとたちの、母親たちの、協働がどんどんはじまるのです。




森崎和江さんは、こうも書きます。

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女たちは、自己を極小共同体として認識するのだ。その共同体は何ものかを統括し、生産し、
所有しているのである、それは他のいかなる原理による蹂躙をゆるさない。 
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今日、3月8日の「女性の日」なのだそうです。
そうでした。そんなこともすっかり忘れていた。

こんな状況のなかで、毎日、原発と放射能のことが頭からこびりついてはなれなくて。
それでも、日々生きていかなくてはならなくて。

ゾンビになりたいーと若い女の人のように、すねるわけにもいかない。
死ぬかもしれないーとふんぞりかえって大言壮語するわけにもゆかない。

だけどこのありようには、自信と確信がある。

-----クラウディア・V・ヴェールホフ 「チェルノブイリは女たちを変えた」

「最大想定事故は、人々が同意しなくなったときに初めて現れる。
みんなが自分の汚染をそう悲観的にとらえず、
とりわけ母親たちが犠牲になる覚悟をしていれば、最大想定事故として
認識されないということである。
彼らが考えているようなこの<母性>なしには、
彼らの装置は作動されない、ということである。
だから大いなる怒りは私たちに、彼らのいう母性など
結局はむこうの方棒をかつぐものだと見抜かなければならない。

---------

原発事故後の壮大な尻ぬぐいと格闘すること。それは「誰の方棒をかつぐ」
ようなものとは決定的にちがいます。
棄てられる前に、棄てるような執念につきうごかされて、どんどん「異族」に
なっていく女の人たち、主婦、母親たちは、
そっぽを向いたままで、勝手に航路を切り拓いていきます。

カリフォルニアから東電提訴米兵の弁護士など:中継3/9

以前、3.11前後のニューヨーク集会も紹介しましたが、カリフォルニア・オークランドでも「ともだち作戦」の被曝兵士たちの東電損害賠償請求の提訴の弁護人を含む反原子力・反原発の労働とコミュニティを考えるフォーラムがあるそうです。この件、アメリカの西、東海岸を横断して反原発/反核運動ではとてもおおきなウェイトを占めはじめているようです。知らぬ存ぜぬはわたしたちばかり...なのでしょうか。

カリフォルニアはサン・オノフレ、ディアブロキャニオン原発や研究開発施設なども多く抱え、原子力とコミュニティのかかえる問題がふかくかかわっているようです。

●原子力内部告発者フォーラム
「原子力内部告発者、安全衛生、労働者と私たちのコミュニティー」
以下 IWJ サンフランシスコから3/9に中継。
http://www.ustream.tv/channel/iwj-sf

No Nukes Action Comittee

詳しい情報はサンフランシスコの反原子力運動のNo Nukes action comitteeを参照してください。
http://nonukesaction.wordpress.com/2013/02/22/nnac-hosts-nuclear-whistleblowers-at-march-9th-conference/

「東電に99億円請求した被ばく米兵8人の代理弁護士に聞く」ウォールストリートジャーナル
2013.1.18 
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323284004578249023802135586.html

ガーナー弁護士の発言より抜粋

「非営利組織の医療施設を設立し、治療だけでなく、被ばくした人たちがどうやって生産的で実りある生活を送れるかといった教育も行う。日本の人たちも利用できるように、ハワイに立ち上げる。日本国内では十分な補償を受けられないのではないか、と危惧するからだ。


 この悲惨な状況から何らかの希望の兆しを見いだせるとしたら、東電の協力を得て、被害に遭った人たちが適切な治療を受けられるようにすることだろう。希望や、前進する力を失った被災者のためにも、先んじて訴訟を起こすことで、この問題が葬られないように、世間の関心を喚起したい。」

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ストロンチズム・ストロンチスト!

チェルノブイリ原発事故のあとのドイツで、日常的な放射線防護や計測にとりくむひとびとが、
反原発の運動のなかでも、「ベクレル派」とからかわれ、一段さげすまされていたことはよく知られるようになりました。
 
――「ベクレル派」とは、単に、日常的な場を放射線防護対策を行うというだけでなく、放射能汚染におびえる一般民衆に寄り添いつつ、反原発運動を、エリートに限られない広いものにしていこうとするものであったといえる――

ところで最近、「原爆・原発―核絶対否定の理論と運動」池山重朗(明石書店)という本を読んでみました。1950年代のうまれたての原水爆禁止運動の、人々の躍動感、柔軟さ、大衆的な様子がわかります。

しかし。その中で<ベクレル派>に先立つ歴史を発見しました。というのも核の危険や恐怖を訴える人に対して、おなじ原水爆禁止の運動のひとたちから「ストロンチズム」「ストロンチスト」というレッテルが貼られたということを知りました。はははーん。

――学生運動の間では、核実験に反対する場合、その論拠としてアメリカ帝国主義の犯罪性を第一義に置かずに、“死の灰”による大気汚染を重視する主張を「ストロンチズム」的偏向と呼んだりした。つまり、ストロンチウム90の危険性を説く者は、政治意識の低いものであり、偏向を犯しているという指摘なのである。
 そこでは核の矛盾を事実の理論をくぐって曝き出し、この誰しも否定し得ない論拠によって国民の同意を得るという本来の大衆運動のあり方が、否定されているとも言えよう――(p17)
  

当時、「ストロンチウム」については、アメリカでもWomen Strike for peaceという母親たちの「乳歯保存運動」など大衆的なとりくみもあって、核実験と健康被害について核の危険の実証の道をひらいていきました。


Women Strike for peace

ドイツではその「ベクレル派」のひとびとが現在も科学者と協力して、「テレックス」という雑誌を発刊しつづけています。福島原発に関しても、関心をそそいでいます。

放射線防護雑誌:テレックスによるレポート

放射能から逃げるか、政治か....そういう踏み絵はもうたくさん。
政治体制、社会構造.....悪いものがたくさんあることなんてこの2年でいやというほど知りました。
だけどちらちらすることば。

原発に反対するなら××にも反対しなければ。
被曝対策するなら当然××もしなければ。
核に反対するなら当然、××にも反対しなければ。

はい。はい。わかりました。どれも正しい。
だけど、あなたがたと決定的にちがうのは、原発事故とそのあとの汚染については、
「運動の課題」「正しい方針」や「論ずべき社会問題」のひとつではなくて
まず第一に生きていく、暮らしの上での、「条件」そのものなのです。

だけ「ただおそろしい」「こわい」「まずい」「やばい」という生活の延長線上でうごいているわたしたちを「分析が足りない」「~すべき」とか頭ごなしにいわれるような論調には.....
なんていうか、免疫力が下がる気がします。

そういういみでわたしも、ベクレル派で、ストロンチストです。


2013年3月6日水曜日

アメリカで3.11に東電提訴の被曝兵士のはなし

次の3.11前後に、米国のインディアンポイント原発に反対しているグループといくつかの反核グループの共同で、米軍のトモダチ作戦に従事し被曝したとして東電に損害賠償請求提訴した兵士たちに対して協力と賛同のうごきがあるそうです。

(ややおどろいたのは8名の兵士中のうちひとりが女性兵士。当時妊娠中だったとのニュースもあり今、確認中です。軍隊&フェミニズム論争の視点からもみすごすことはできないはず...日本の法令「電離放射線障害防止規則」では女性に「保護」が考慮されて<は>います。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47F04101000041.html
ただし事故以後は「一般人」と「電離放射線関連労働の従事者」という区別が意味をもたないような状況ですが...

世界からいつも、好んでほいほい孤立してしまう日本では、なぜかまるで注目されていません。(賠償額の多寡だけが話題になって反感意見とともにちらっと紹介されただけで、すっかりたちぎえてしまいました。)

いつまでたっても世界からも歴史からも遮断されてしまう、ドメステイックな内弁慶のままではもう
いたくありません。

米国兵士たちが東電賠償請求
http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=248326911227508151#editor/target=post;postID=220243340613325302




この件は自然災害がもはや自然災害ではおさまらず国際的な軍事介入の契機であるのと同様に、原子力災害が国境をこえた被曝をもたらす事象であること、またかつて、枯葉剤による健康被害を訴えた兵士たちに刺激され、被爆/曝の健康被害の保障を実現させたアトミック・ソルジャーによる「全米被爆兵士復員兵協会=National Association of Atomic Veteran」との類似点などを喚起させる、じつはとても重要な出来事なのだと思います。

また被爆/被曝を戦時の広島・長崎の被害者はもとより、冷戦時の原水爆実験に従事した兵士、およびさまざまな核施設の風下住民や漁民たち、またチェルノブイリ事故もふくめて、すべての「核」による被害を歴史的・空間的にも貫通する<核被害者>として位置付け、たばになって、原子力推進勢力に対して異議申しようとした模索をおもいださせます。

(なぜか「核被害者世界大会」は2回目を最後にとだえてしまったようですが...)
当日、中継も予定されているらしく、注目です。


付記)
*ちなみに米国では長崎の米軍の処理を行ったライマン・クィグリーらが、同僚の被爆退役軍人を執念でさがしだし、やっとのことで彼の死後1988年に「被爆兵士保障法」が成立。また2年後1990年には、「1990年放射線被曝者補償法」によって、ネバダ核実験の風下住民、ウラン鉱夫、運搬者、核実験の参加者などに補償が認められているそうです。(ロザリー・バーテル「反核シスター」より2008年緑風出版)

今回は、軍や米国政府への制度要求でなく、東電への<賠償請求>という形をとったのはなぜか気になります。


*考えてみると「子どもと妊婦は避難すべき」という言い方に「違和感を感じる」といってみたり、躊躇を表明したフェミニストや学者、左翼のひとたちというのは、「電離放射線障害防止規則」の中に「かろう」じて書き込まれている、「妊婦、子供の保護を<撤廃>」しろ=「被曝の平等」を主張していることになるなと思いました。げげげです。

状況に無理に介入しようとして、これまで築いてきた予見をそのままに、無理になにか語ろうとするおかしなひとたちの姿は、ぶざまです。






2013年3月4日月曜日

富山の震災がれきうけいれで母親たち10名が告訴される

富山の水源地に近い小さな立山町。またその周辺地では、「震災瓦礫」のうけいれに反対の声がたかまっていました。その搬入に反対して折の行動が「威力業務妨害」とのことで10名もが富山市から刑事告訴されています。これ自体ひどいことなのですが記事によると150名ちかい〝普通の〟「母親たち」「主婦たち」が反対の声をあげているということ自体すごいことです。逆に、がれきの広域処理の推進者が、何を、だれを、、おそれているかよくわかります。

富山なので、「米騒動の再来」とか「越中女一揆」とよぶ声もあるそうです。
東京新聞2013年2月28日







この件にかぎらず、目をこらしてみれば広くあらゆる分野の放射能防御の活動----食品や学校対応、測定所の運営、避難・保養の権利、支援法(支援法の院内集会は圧倒的に〝女性〟がおおく、毎回〝官僚〟をしどろもどろになるほど問い詰めている様に驚きます)と、列島のありとあらゆるところで、「母親」「主婦」たちが矢面にたってます。(*ここで「母親」「主婦」というときには、そうした役割にある人々みな...女性以外も含むこととします)

じつは女性や母親が牽引力になったチェルノブイリ原発後の空前の「反原発運動」のもりあがりも調べてみると1986年の事故「直後」ではなく、少しのタイムラグがあります....事故2、3年の時を経て「汚染食品」が食卓にあがったことがきっかけで主婦や母親が危機をいだきそれが各地での広範な反原発運動の導火線になっています。ほんのちょっとだけまえなのに、皆にわすれられている〝近〝過去。

いま二度目の、しかも足元で事故を迎えてしまい....おおきなけれど静かな変動がおおこっています。放射能防御にかかわるひとは全力で、しかもある意味、こういうと変ですがとてもポジティヴに事故をおこしてしまったあとの「尻ぬぐい」を、わけなくやってのけています。


事故後の社会とその行く末を冷徹にみきわめること、その上で悪くなることをくいとめようと私的/公的領域問わず手当たりしだいにうごいている。

もっともチェルノブイリの折も、旧来の運動家やフェミニズムはこうした動きを手ばなしで歓迎し、その流れのひとしずくになることに「躊躇」していた感、なきにしもあらず。

スタイルの違いを云々すること、あるいはこの視点が足りない、これも足りない、と、だめだしに血道をあげたり。母性主義という批判....場合によっては、鎮圧の側にまわってしまったということも。

(一方で母親・主婦たちのこの動きに積極的につらなったのはもともとの運動家のなかでは当時九州のもと豆腐屋さん、松下竜一さんたちなど数えるほど。)

そしていま、従来の頭のかたい運動家や、フェミニストの人には、そうしたうごきを無視するのか....はたまた鎮圧する側にまわるのか、ふたたび問われているのだと思います四半世紀、凍結されていた趨勢がふたたびやってきた。そのことをすんなり認められないのは、二重の意味で「否認」をかさねている、こじれてる、としかいいようがない。

さらに彼女たちにしてみれば、放射能防御に関して、ひとつひとつの行為はそんなに特別なことでもなく(特別な「状況」ではあるけれども....)こうしたうごき自体、ケア労働、家庭内の労働の延長線上にあることがよくわかります。

例えば測定ひとつとっても家事労働を想像してみれば主婦は意外としょっちゅう「測っている」。

あかんぼうのミルクの温度と授乳の時間、保育所に預ける前の子供の体温、てんぷらとかとんかつをあげる時の油の温度の差、自分の基礎体温、はては老人の排便排尿の量と時間.....とか。
その黙々とした所作が、決定的な「危険」を未然に、あるいは最小限にくいとめることを、熟知している。


いいかえれば、そうしたこそ領域が「可視化」しているということをみくびってはいけないしもっと畏怖の念を抱かれてよいと思う。っていうかこれまで不可視の「生活」か生きるとか暮らしの部分がせりあがっている領域だからこそ、頭でっかちな人間はことばがない。

ともあれ、この行政による告訴をゆるさないし、富山にむかって応援です。


WHO 福島原発事故の健康被害予測発表

ついにWHOが2013年2月28日、東京電力福島第一原発事故による健康影響予測の報告書を公表したそうです。WHOは1959年にむすばれたIAEAとの協定で、原子力事故の調査、またその結果報告について独立した権限をもっていません。

●WHO独立のために「世界保健機構(WHO)は放射能汚染の犠牲者を守るという役割を果たしていません」(参考)
http://independentwho.org/jp/


原子力産業側にたつ「楽観的」な「過小評価」をおこなったことはチェルノブイ事故でもあきらかにされています。この予測結果についてはNGO等がさっそく批判をおこなっています。

●グリーンピースJAPAN
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2013/pr201302281/
「WHOの報告書は、原発事故の初期段階で放出された放射性物質が、原発から20キロ圏内で避難できずにいた住民に及ぼした影響について言及していません。放射線による健康影響は、長い年月の後に表面化することがわかっています。WHOは、原発事故による放射線と健康に関する影響評価を国際原子力機関(IAEA)の承認なしに発表することはできません。福島原発事故から2年を目前に発表された本報告書は、人命を念頭においた科学的分析ではなく、原子力産業を守ることを考えた“政治的な意図”を帯びたものと言えます」
ところが一方、環境省・厚生労働省はこのWHO予測結果について、「きびしくみつもりすぎだ」と猛反発しています。デジタル版203---------------年2月28日
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●朝日2013.2.28 【前川浩之=ジュネーブ、大岩ゆり】
世界保健機関(WHO)は28日、東京電力福島第一原発事故の被曝(ひばく)による健康影響に関する報告書を発表した。大半の福島県民では、がんが明らかに増える可能性は低いと結論付けた。一方で、一部の地区の乳児は甲状腺がんのリスクが生涯で約70%、白血病なども数%増加すると予測した。日本政府は、「想定が、実際とかけ離れている」と不安を抱かないよう呼びかけた。 

 WHOはまず、環境の線量などから被曝線量を推計した。計画的避難区域の住民は事故後4カ月避難せず、県内産のものしか食べなかったという前提で推計した。この線量をもとに、当時1、10、20歳の男女の甲状腺がんと乳がん、大腸がんなどの固形がん、白血病になるリスクを生涯と事故後15年で予測した。 

 この結果、被曝線量が最も高いとされた浪江町の1歳女児は生涯で甲状腺がんの発生率が0・77%から1・29%へと68%、乳がんが5・53%から5・89%へと約6%、大腸がんなどの固形がんは29・04%から30・15%へと約4%増加、同町1歳男児は白血病が0・6%から0・64%へと約7%増加すると予測した。 

 事故後15年では、1歳女児の甲状腺がんが浪江町で0・004%から0・037%へと約9倍、飯舘村で6倍になると予測した。 

 100ミリシーベルト以下の低線量被曝をした人たちの健康調査について、WHOは「線量だけでなく精神面や社会、経済的な側面への配慮も必要だ。がんの増加について科学的根拠が不十分でも、調査を長期間継続すべきだ」とした。 

 また、チェルノブイリの経験から「福島では、精神的な影響が他の健康影響を上回る可能性がある」と指摘。精神的な被害を深刻化させないために、線量とは関係なく、住民の精神ケアに早期に広範囲で取り組むべきだとした。 
 原発作業員のリスクは実測値に近い線量で評価。甲状腺がんなどが最大30倍以上増えると予測した。 

■日本政府は反論 

 環境省と厚生労働省は、WHOの会見に合わせ、メディア向けの説明会を開いた。住民の健康影響の評価について、環境省の前田彰久参事官補佐は「線量推計の仮定が実際とかけ離れている。この報告書は未来予想図ではない。この確率で絶対にがんになる、とは思わないで欲しい」と強調した。 

 一方、「過大評価」との批判に対し、WHOのマリア・ネイラ氏(公衆衛生環境担当)は「(4カ月避難しなかったなどの)想定は過大評価になるかもしれないが、過小評価よりも良い。過小評価してしまう危険を最小化したかった」と反論した。
--------以上-------
あーあ、です。なにをいまさらとりつくろうとしているのでしょう...おもわず。
こどものころおぼえた「いろはがるた」の、「われ鍋にとじぶた」という絵がおもいうかびました。
いまことの本質は、住民が「不安になるかどうか」「心配しないかどうか」ではなく、どれがただしいか、ただしくないか、という推論の妥当性をあれこれ論じることでもなく、「予防原則」(=科学的に明らかにされていない場合でも、危険が予測される折には、最大値のほうをえらぶ)に立って最大限の策を講ずることは明白なのに。いま、医者でちょっとした手術や大きめの治療をしたひとであれば、環境省や厚生労働省の「とりつくろい」がいかにまがまがしいか、わかるはず。

手術をひかえた患者は、輸血事故防止のためにそなえて、かならず自分の血液を採取するし、どんな手術であれ誰であれ術中の「肺血栓予防」にそなえて、(エコノミー症候群予防のため)、両足を圧縮する真っ白な靴下をはかされたり(けっこうはずかしい)、はたまたちょっとおおきめの病院であれば誰が誰なのか、まちがえられないように、足の裏にマジックで名前をかかされたりします(こればかりは不安になる)。

どれもちょっと、おおげさかな?とおもったりしないわけではありません。けれども、それはそれで過去におこった医療事故からまなんだ「危険」にそなえた妥当な措置だったりもします。
そうした積み重ねから、環境省や厚生労働省が大いに脱線してしまっています。 まるで情けない「おためごかし」とはこういうことをいうのだな、と思います。