2013年1月23日水曜日

東電へ99億円の賠償請求の米兵の弁護人インタビュー記事 

先日、トモダチ作戦に従事した8名の米兵が東電に賠償請求した件の続報です。
米兵の弁護士カリフォルニア、サンディエゴのポール・C・ガーナー氏が訴訟の経緯について、
くわしくインタビューにこたえています。

ウォールストリートジャーナル:日本語版 1月18日記事より 



http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323284004578249023802135586.html

最初にニュースがあった時には、あまりに請求が多額であり、反原発や反被曝を問題化している人々の中でも「国内の賠償を必要としている人にマイナスとなってしまうのでは?」
「なぜ米軍自体を訴えなかったのか?」という反発の声も聞かれました。
しかし、インタビューの限りでは弁護人は以下のようにも述べています。

(賠償が実現したら)「医療施設を設立し、治療だけでなく、被ばくした人たちがどうやって生産的で実りある生活を送れるかといった教育も行う。日本の人たちも利用できるように、ハワイに立ち上げる。日本国内では十分な補償を受けられないのではないか、と危惧するからだ」

「日本で十分な対応を受けられない人たちのためにも、思い切って立ち向かうことにした」と。

●以下インタビューの重要な点をぬきがきしておきます。

---症状と被ばくとの因果関係を診断したのは、米海軍専属の医師か。

  「違う。米海軍は、当時、被ばく線量は最小限に抑えられていたという見解に終始している。自然光の下で30日間くらい浴びる程度の放射線量だった、と。だが実際は、非常に高かった。4基の原子炉がメルトダウン(炉心溶融)し、放射性物質が飛散した。

 被災地支援に駆け付けた乗組員たちは、ヘリコプターでロナルド・レーガンに戻ると、自分たちの除染作業をしなければならなかった。安定ヨウ素錠を飲み、着替え、体を洗浄した。だが、(有害な物質を体内から排出する解毒治療である)キレート療法は行われなかった。ヨウ素剤も、乗組員全員には行き渡らなかった。2年たたないうちにこれだけの症状が出ているのだから、今後も様子を見続けるべきだというのが、わたしの見解だ。否定論者は、何を以てノーと言うのか理解できない。」

 「診断に当たったのは、非常に高名な米国人の環境毒物学者兼内科医で、(08年)ニュージャージー州の住人がフォード自動車を相手取って起こした(集団訴訟の)クラスアクションにもかかわったことがある。同州の組み立て工場から廃棄された有害化学物質が飲料水に流れ込み、何百人もの住人ががんになったケースだ。」

---本来なら、直接の雇用主である米海軍を訴えるべきだったのでは?

  「彼らも、(東電から)情報を与えられた側だ。現場の放射線量を測定しにいったのではなく、救援活動をしにいったのだ。最初に情報を流したのは、東電である。乗組員らは、米海軍と米政府の言うことを信頼し、自分の身を守ろうとしたわけだが、発信元が、肝心な問題について明らかに情報を隠し、うそをついていたとしたら、部下や自分の身を守ることはできない。

 当初、乗組員は、自給式呼吸器も放射能汚染防護スーツも不要だと教えられていた。ヘリコプターなどの航空機がレーガンに戻り、原告らが洗浄作業に当たったわけだが、問題は、汚染水の海洋投棄により、洗浄に使った海水が放射性物質に汚染されていたことだ。」

 「乗組員の安全を確保すべきなのは米海軍だから、彼らを訴えればいい、とはならない。米法律学の下では、第一義的な加害者が、その不法行為によって生じたすべての損害に責を負うことになる。勝つ自信はある。日本で十分な対応を受けられない人たちのためにも、思い切って立ち向かうことにした。」

                                                   以上

記事によると、日本で賠償を求める人や被災者などとの連携はいまのことろ考えてはいないようですが、「日本が訴えられた」「外国からの訴えを優先したら、国内での賠償がおろそかになるのでは?」と疑心を抱くのではなく、たとえ立場のことなる米兵(また日米関係の非対称性は十分踏まえた上で)だとしても、核による被害者、被曝者なのだという視点も大切に思います。

参考 アトミック・ソルジャーと低線量被ばくについて
http://shinjyukusunabaproject.blogspot.jp/2012/12/8.html

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