2012年2月27日月曜日

新しい食品基準に対する意見:その2「内部被曝研究会より」

2012年2月24日付けで4月以降の食品放射性物質に関する新基準が正式に決定されました。
2011年3月17日以降の「暫定基準値」に比し、値は低くなるものの、土壌汚染・水質汚染の
全体像もさだかでない中、また未曾有の人口過密地域「首都圏」汚染という、さらにチェル
ノブイリとことなり、“流通が発達した”国内の状況を前にして、この基準値は私たちに疑問を
いだかせるに、十分なものです。

以下、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」より、この基準値についての批判論点を
紹介しておきます。

「市民と科学者の内部被曝問題研究会」
http://blog.acsir.org/?eid=14

①「放射性セシウムスクリーニング法」に記載されているように「広範囲の食品に放射性物質
が含まれる事態となっている」にもかかわらず、「分析対象」を「放射性セシウム(Cs-134及びCs-137)に限っていること。

②「対象食品」を「一般食品」に限定し、乳児用食品、牛乳、飲料水を除外していること

③「食品中の放射性セシウムスクリーニング法の考え方」「1.スクリーニング法」では「検査の目的は、食品衛生法で規制された食品を流通させないことである」と謳っていること

④「1.放射性セシウムスクリーニング法」「5 検査結果の記載」に「スクリーニング結果の測定値は参考値として記載し、測定下限値以下の場合は測定か現地を明記した上で、その旨を記載する」と極めて不明瞭な文言(各食品に記載するのか、「その旨」が実際の計測値なのか不明)となっていること

⑤「1.放射性セシウムスクリーニング法」には「平成24年4月1日より施行されることとなった」食品衛生法の規格基準を受けて、「一般食品の基準値である100BQ/KGに適応できるようスクリーニング法の見直しを行った」とされていますが、もととされる新基準に問題があること

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と、納得できる見解です。以下思うところを。

①についてはセシウムだけでなく、ストロンチウム、プルトニウム等、人体に有害な物質に
ついても、検査体制をは極力はやめに構築すべきと思います。(食品以外の土壌検査など
でもセシウム以外の検査体制に着手する気配はみられないのですが。。。。)

②に特に「乳幼児食品」ついては、文科省内の放射線審議会が委員に「新基準値は緩すぎると意見提出するようにすすめる」といった工作めいた事態まであったことが発覚しました。

その理由は「混乱を避け、既存の産業を守るため」だそうですが。。。本末転倒しています。
昨年末、明治の粉ミルクステップから、1キロあたり30.8ベクレルのセシウムが検出された
ことは記憶に新しいと思います。
目先の利益を優先し、将来的な「保健衛生」「児童の健康」をなえがしろにする。そんな姿勢が事故後もまるで改められないということに、いきどおりを覚えます。

④について<流通させないこと>となっていますが、これだけでは「流通」させないだけであって
生産までの追跡調査が軽視されています。検出された食品の生産地、製造過程などできるだけ
さかのぼるべきでしょう。 

また⑤についてそもそもこの新基準値について

設定にあたって「生涯累積実効線量を100mSv」(当初は外部被曝と内部被曝の合計とし、最終的には理由抜きで内部被曝“だけ”とした)がベースとされました。そして食品の摂取による内部被曝だけで一般公衆の年間被曝限度1mSv/年を充ています。が、原子力推進側の意見を反映しているとされるICRPですらも、一般公衆の年間被曝限度を1mSvとしています。

総じて「新基準について」なぜ、こんなことになるのか謎です。いつのまにか外部被曝は含まないことにされてしまっているし、これでは線量の高い所に暮さざるをえない人々の健康への配慮も欠く。また乳幼児・児童・若年層はじめとした人々に対しての“安全の基準”とはとてもいえないのではないでしょうか。

食品新基準 2012年4月から


*注) あくまで「セシウム」のだけの基準であって事故後に拡散した放射性物質すべての核種の基準でないことに留意しましょう。

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