2012年4月26日木曜日

チェルノブリから26年目に・ドイツ、ウクライナの女性たちの声

今日、4月26日は1986年のチェルノブリ事故から、26年目にあたります。
去年のいまごろちょうど東京電力前に、農民連のひとたちの補償要求と抗議行動があり、「牛もやってくる」ということで、いささか調子にのってかけつけていました。


それから一年。その時点ではきちんと予想できていなかったことがつぎつぎおこりわたしたちを日々悩ませまたわたしたちをさまざまに分断しています。


瓦礫の広域処理、あちこちから発見される食品汚染、すすまないこどもたちの給食対策、移動や避難の困難.....この一年におこったことは、まだまだ「序章」にすぎないのだなと、震えとともに、身がひきしまります。以下は、チェルノブイリ事故から20年目の2006年に、ウクライナ、ドイツ、などの女性たちがエコロジーとフェミニズムの視点から発行した小冊子です。とても興味深い内容です。


"20 Years Chernobyl: Women Active Against Nuclear Energy -- from rage to visions"
「チェルノブイリから20年:原子力エネルギーに抗する女性たちの行動 怒りからビジョンへ」(PDFで全文掲載)
                    http://www.wloe.org/Chernobyl.283.0.html

エコロジーとフェミニズムについてのネットワーク <Women and Life on Earth>
とても美しいうえに、反軍事・反基地/反グローバリゼーション/遺伝子組み換え作物などの情報もたくさんです。
 

チェルノブイリ事故がきっかけで過去の記憶がよびさまされ1950年代の「ウラルの核惨事」により家族を健康被害でなくしたおばあさんが政府を訴えたこと、ドイツの小さな村で核廃棄物輸送反対にかかわるゴア・レーベンからの声、また、チェルノブイリ事故後に発足した女性をとりこもうとする戦略をもつ原子力産業側の団体、Women in Nuclear (日本にもあるのです...)など、20年間の経験と様子が伝わってきます。2006年頃は「温暖化の防止」に「クリーンエネルギー」としての原発が、しきりとアピールされだした頃でもあり、彼女たちの声の重要さに、いまさらながら気づかされます。


ウクライナでは、若い母親たちがあつまり子供の健康被害のケアための活動をねばり強く20年もつづけてきました。チェルノブイリAIDSとよばれる免疫不全がこどもを苛んだそうです。このグループは、数年後のソビエト崩壊にともなうウクライナの民主化で、共産政権のおすみつき以外では、初の市民グル―プとなったそうです。

              ウクライナで当時若い母親たちがはじめ、いまでも活動する「MAMA-86」 
                    ロシア語のサイトですが一部、英語のページもあります。

                       
                           http://www.mama-86.org.ua/
              
日本でもチェルノブイリ事故の翌年あたりから、輸入食品の汚染をきっかけに、女性や母親を中心とした「反原発ニューゥエーブ」が原の火のごとく広まりました。

どこかですっかり忘却していたのですが、いま、その声は確実に回帰しています。
母と子供の避難、疎開、放射能防御や給食、計測など、みな懸命で、しゃかりきで、
でもどこかしら、じたばたしていて、でも力をふりかざす、ぼんくらには情け容赦なく敵対し、冷徹。

そうした姿をわたしは、ただ、美しいしなと思うのです。

ウクライナやヨーロッパの20年の経験をよみながら、
「<脱/反原発>のあとにやってくる世界は、女の人や、母親の声がきちんとききとどけられる世界、
ひびきわたる世界であるかもしれない」 ......。「そうだといいな」と改めて思いました。

そして10年、20年、いやもっと、30年と、、、おおらかな時間の尺度と、抵抗の尺度を手に入れたいな、とも。

2012年4月24日火曜日

被爆者臓器・新生児カルテ軍事機密に 北海道新聞より

北海道新聞2012年4月22日記事より「広島、長崎原爆」「米へ臓器・カルテ1200人」
「被爆者新生児 放射線研究に利用」

米軍病理研究所が保管していた広島・長崎の被爆者、新生児のカルテが広島市立
学・広島平和研究所の高橋博子講師の調査によって新たに発見されたそうです。

同内容の記事は東京新聞にも掲載されていましたが北海道新聞のほうがより踏み
込んだ記事なので紹介しておきます。


記事中には、原爆投下後新生児が生まれると戦時中の妊婦への配給制度を利用し
ABCC(原爆傷病調査委員会)に通報され、また新生児が死亡した折にはすべて
解剖にふされたとの関係者の証言もよせられています。

ABCCについてはもはや説明の必要もないほど、昨年の原発事故以来、その犯罪性が
何度も確認されてきましたが、こうした熱意ある発見/研究により、説得性をもちます。
おりしもちょうど昨日は内部被曝問題研究会の第一回目のシンポジウムも開かれました。
「市民と科学者による内部被曝問題研究会」
http://www.acsir.org/

こうした姿勢と研究をそのままうけつぐのが、いや誕生と当時に「原子力」利用の追認その
ものが放射線医学あり、放射線医学研究所であり、山下俊一なりであることも、
もはや説明の必要もなく、常識となりつつあります。

昨日の内部被曝研究会での肥田舜太郎氏のおはなしでは

「医師国家試験も、放射線防護学も―日本の大学での学問研究はIAEA(国際原子力機関),
ICRP(国際放射線防護委員会)の基準にもとづいている。だから、仮にECRR(ヨーロッパ放射
線リスク委員会=チェルノブイリ事故の2年後、1988年に発足)の基準で「解答」を書いたら、
すべて<誤り>となり、“落第”“不合格”となってしまう―。」
とのことでした。

従来、「“原子力”の平和利用」という言い方がされてきたけれども、
このいいかたにしも正確ではない、とすら思えます。
かりに「核兵器の平和利用」といいかえてみれば、私たちがすごし、
そして今迎えている事態の「倒錯」がより明瞭になります。
とんでもない殺傷の装置をかかえこんでしまっているのです。

2012年4月3日火曜日

4.1からの食品新基準と自治体アンケート


4月1日から、放射性物質の食品基準が導入されました。
これにさきだって日本消費者連盟がおもに東日本の行政に
対して行ったアンケート結果が公表されています。

各自治体の空間線量、食品独自測定についての有無に
ついてなどの回答を掲載。はたして新基準に「政府」だけの
検査で対応しきれるのか...。注目していきたいと思います。
しかしこの回答中にしばしみられる検査の「責任主体がわからない」
という回答はいったいどういうことなのか?と思います。

●日本消費者連盟/放射能測定アンケート
136自治体(1都1道20県)のうち105県が回答。
http://nishoren.net/flash/1712

●環境省の「除染」対策地域についてみても、
 1 <除染重点地区>      =福島県11箇所
 2 <除染状況重点調査地区>=福島40か所
  以外に 茨城・栃木・群馬・茨城・埼玉・岩手・宮城 計62か所
  の自治体にわたっています。

 *注)2の「除染調査状況重点調査区域」は空間線量が0.23μSv/h以上の市町村)
 *注)2011年12月19日環境省発表 「放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染
  廃棄物対策地域、除染特別地域及び汚染状況重点調査地域の指定について」
  参照)
今後の調査で、この「点在」の詳細がよりあきらになるかもしれませんし、 
自治体自体が厳密な測定を行えば、さらに広がる可能性もあります。
関東の自治体がまず、"当事者"であることを認識してもらわないことには。